【 内村氏はオカンムリ 】

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 院を卒業後、経産省に入省した。ずっとやってみたかった仕事で、職場でも十分に自身の力を尽くして存在感を発揮でき始めたと思ったところで、なぜか内調に出向になった。  30代後半の話である。 内調……内閣調査室。  大半は警察からの出向者で占められ、トップはこれまた警察庁官僚経験者が歴任するのが慣例になっていた。  畑違いもいいところである上に、もはや経産省とは使う言語が違うくらいの文化の差を覚えながらの七転八倒の日々だったが、気が付くと、そこでの仕事が経産省のキャリアを越え。  しかも、内調にその人ありと囁かれる、上から指折り数えて、3つめのポストにまで昇る事ができるようになった……ところで、トラブルだ。  彼は室内のトラブルを、1人で引き受ける形で、内調を早期退職する。  この時のトラブルの幕引きに、彼の悪友どもがいささかなりとも協力を……あれは己らの趣味で、楽しんだというのではないかと、今でも彼は思わずにはいられないが……してくれたのだが、これらは国家機密だ。  一応、詳細は控えよう。 しかしこれが、50代半ばの話。
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