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どうして彼に家に集合するのだ、と、いつも思う。
逢わないときはそれこそ半年近く顔を合わせない事もあるのに、では集合という話になると、なぜか場所はいつも彼の家になる。
いまだ公務員を続けている黒崎の方は、家に妻もいれば子もいる身だ。それは気安く集合場所にできない事なら、納得いく。
しかし、もう1人の桂の方は、自分で興信所を経営していて、家もその事務所横の部屋をもう一室借りている。
気楽な暮らしだ。
そちらに集まろうという話になっても良いはずが、しかしいつもそうはならない。
たぶん、集まろうという話をし始めるのがいつも黒崎で、話を持ち掛ける相手がもう1人の悪友、桂で、2人してやってくるのが彼の家という図式であるせいだろう。
酒が出て、つまみがあって、大騒ぎできて、眠りこけられる綺麗な宿泊所という扱いを受けている気がしないではない。
毎度文句を言うのだが、このとおり、聞き入れられた事がないというのが現状である。
オヤジ3人も集まると、酒の匂いもさることながら、家の中にこもる翌朝の加齢臭がもはや公害レベルだ。
彼はひとおり掃除機をかけ終えると、再び朝食の支度に戻った。
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