第壱話~中学卒業から2年~

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田「今日も潔子さんと胡蝶さん、お美しい!!! 潔子さんのガン無視も超いいが、胡蝶さんのあの眉尻を下げた笑顔!! あれもまたグッとくる……!!!」 田中は清水の話をする時は全身を震わすことで喜びを表し(この時の表情は終始とろけている)、 満月の時は身をくねらせるように捩ることで喜びを表した(この時の表情は終始にやけっぱなしだった)。 要は二人を困らせていたという話だ(本人に至っては大違いだが、聞いてる側からはそう聞き取れてしまう)。 西谷はそんな田中を見て「俺はな!」と嬉々として今日自身の身に起こった話をし始めた。 それを聞いた田中は羨ましさに絶叫することになる。 西「俺はな、龍。 潔子さんのガン無視は毎度のことながら痺れるぜ! だが今日はさらに俺の身に奇跡が起こったんだ!!! あの胡蝶さん自ら俺の頭を優しくポンポンと撫でてくださったのだっ!!! 俺はそれだけでこの一週間…いや、この一ヶ月乗り越えていけるぜ!!!」 片手を満月に撫でられたであろう頭に乗せながら力説し、田中に自慢する西谷。 田中は「羨ましい」と絶叫し、「俺にもしてもらえるだろうか?」と照れながら西谷と盛り上がった。 近くを通りかかった今まさに話題に上がっている張本人である清水は案の定ガン無視。 満月は苦笑いと予想した通りの反応だった。 もう一つの1年グループはよく行動を共にしている3人組で、よく田中と西谷というムードメーカー2人のストッパー役を仕方なく担ってる縁下力と成田一仁、木下久志である。 1年組は仲がか悪いとかはない。皆仲がとても良い。ただ田中と西谷がアホなだけである(笑) その3人は入学前に大怪我をし、今の今まで登校できずにいた生徒の噂話に花を咲かせていた。 成「今日までずっと療養中だった子が初登校するんだと。 縁下は知ってたか?」 ボールが入った籠を木下と一緒に運んでいた成田が、スコアボードを運んでいた縁下に聞く。 縁下は驚いた顔をしながら首を横に振った。 縁「え? そうだったのか? 知らなかったよ。確か"龍野亜蘭"君?だっけ? 噂だと高身長で凄いイケメンなんだよね。 噂だから本当かどうかは怪しいけど。」 縁下は一度も見たことがない"龍野亜蘭"についての噂を思い出して言った。 ★
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