一億円

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 そう。  変わったのは僕じゃなく、周りの方だった……。 「ちよっと、功太。最近どうしたの?  何かあったの?」  取り繕ったように、いつもと同じ声を出そうとしてるのは一応僕の恋人……。  でも、僕は誤魔化されない。  これでも6年の付き合いだ。優奈の変化に気づかない訳はない。  何が『何かあったの?』だよ。 「いや、何も……。ちよっと疲れてるだけだ」  そう。こいつの心が分かっちまうから疲れてるんだ。  優奈が気にしてるのは一億円の在処だ。  もちろん僕は話してない。けど、優奈は知ってる。  言葉の端々でそれが分かる。  それに……、  明らかに服が変わった。  僕の好みより、若干派手目な、気持ち露出の多い服装に……。  男…………?  可能性はあるだろう。  苦手な僕の代わりに優奈が片付けをやってくれてる。  いつもと同じようにも見えるが、その視線は何かを探ってる。  ま、そうそう分かるような隠し方はしてないがな。  と、突然スマホが軽快なメロディを奏でる。  小学校からの腐れ縁、親友ともいえる雄二からの着信だ。
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