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一週間前
昼休みに緊急集会が行われた。
緊急集会なんて、地震の時くらいしか行われないらしい。
そのため、僕を含めた囚人達は不思議な気持ちだった。
「一週間後、イベントを行う。」
毎度お馴染みのイベント係の警官が言う。
1ヶ月に1度拘置所内ではイベントを行う。
拘置所内でのイベントと言えば野球、講話、そんなとこだ。
それを嫌う者もいれば、それをこの檻の中の唯一の生きがいとしている者もいる。
「今回のイベントは…。」
皆、呆然とした。
そして耳を疑った。
しかし、警察が2回繰り返して言った言葉を嘘だとは断定しにくい。
「どういうことだよ!そんな上手い話あるわけないだろ!」
と1人の吠える男。
そうだ、そうだ!と周りも言う。
中には興味ないという者もいる。
しかし、僕はこのイベントにかけるしかないと思った。
瀬利 結(せり ゆい)
25歳
檻の中に入れられてから5年
5年前の無差別連続殺人の罪
無差別多種殺人事件
5人が違う、凶器で殺されたが、
発見されたナイフ、鈍器、充、ロープ、弓矢に指紋がついていて、当時に20歳の瀬利を犯人だと断定。
本人は記憶になく拒否も出来なかった。
「覚えてません。」全てこの答え。
裁判は有罪 無期懲役、死刑
僕は死刑日が決まっている。
1ヶ月後だ。
死なないためには、これしかない。
イベントの内容は、勝負に勝てば1億円と出所できるという内容だった。
言い終わった警官は去ろうとしたが、何かいい忘れたらしくもう一度止まった。
「あ、2つ忘れていた。参加は自由だが、無期懲役の者は禁止とする。そしてもう1つ、勝負に負けた者は、無期懲役だ。」
そんな大事なこと言うの忘れるなよ。
僕、参加出来ないじゃないか。
所詮、手が届かない夢ってことなんだな。
もう、死ぬのを待つだけだ。
死ぬ前に会いたかった。
家族、友達、彼女、皆元気なのだろうか。
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