青春とは ~ゴッコ遊びに入る前に~

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 夕日が照らす教室で、B君は言った。 B「漫画でよくある、男同士の燃える青春シーンって、なんか憧れないか?」  それを聞いたC君が、感じたままに返事を返す。 C「そうかなぁ? そんなシーンなら、そこの火の熱で人が全員火傷になっちゃうと思うけど」 B「いや、C。燃えるって、そういう意味じゃないからなっ!」  ツッコミを入れるB君に、A君は説明を加えた。 A「C、Bが言ったのは、魂が燃えるとか、気持ちが高ぶるとか、そういう意味合いのことだ」  C君はそれを聞いて、あまり理解していない様子だったけれども、納得したように「ふ~ん」と頷いた。  それを見ながら、A君が続ける。 A「つまり――――Bは、そんな男同士のシーンに興奮し、気持ちが高ぶる、ということなんだな」 B「いや、違うからな! そんなホモホモしいことを言っているんじゃないからっ! おれは、純粋に――」 A「――――男が好き」 B「――違うからっ! というか、途中で遮って台詞を奪ってまで、おれをホモに仕立て上げようとするなよっ! おれはホモじゃないからなっ!! ……なぁ、Dからも、この二人になんか言ってくれよ」  ツッコミに疲れたB君は、一歩外から眺めていたD君に話を振った。  D君は頷いて答える。 D「確かに…………それは違う」 B「だろっ? おれは別に、ホモホモしいとか、男が好きとか、そういうのじゃないだろ?」  D君は、同意を求めるB君の方を見据えながら、間違いを指摘した。 D「『ホモ』は正式名称ではない。正しくは、『ホモセクシュアル』だ」 B「いや、違うと感じたのはそこかよ! というか、Dまでもボケる側に回るのかっ!」 D「ちなみに、『ホモセクシュアル』というのは、本来、同性愛者という意味。けれども日本では、特に男性同性愛者のことを指して使われる」 B「――知らねぇよっ! そんなウンチクは欲していないからなっ!」 A「あとそれから、対義語である異性愛者のことは『ヘテロセクシュアル』というんだ。まぁ、同性愛者たちが異性愛者を呼ぶときには、ストレート、ノンケなどと言う場合もあるようだがな」 B「――より知らねぇよ! というか、なぜAが割り込んで来たんだ? ここはDに語らせてやれよっ!」
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