それぞれの思惑

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大きくため息をついた表情がちょっと色っぽくて。 「なぁ。あいつにやるくらいなら、いっそ俺に奪われちゃえよ」 伸ばされた右手が頬を撫でる。 怖くなって思わずその手を振り払った。 「ちょっ、な、何言ってるの? さっきのは不意打ちだっ……」 「そんなのどうでもいい。このまま指をくわえて見てられるかよ」 「冗談、だよね」 誰かのものになったら急に惜しくなったの? て言っても、ひろくんが考えているようなことは全然してないのに。 じりじりと助手席に詰め寄ってくるから、とっさにシートベルトに手をかけた。 手が震えて上手く外れない。 .
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