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思わず発した声に気付いたその人は、一瞬きょとんとした表情を浮かべた後、満面の笑みでこちらにやってきた。
地獄耳?
「こんにちは。こんなところで会うなんて奇遇だね。神宮寺姫華さん」
「こ、こんにちは」
挨拶はしたものの、いつもの藤堂さんとなんだか雰囲気が違う。
いつももっと高級そうなスーツを着ているのに、今日はかなりラフな服装。
それにいつもより他人行儀。
あと、いろいろ違う。
私のことフルネームで呼んだ。
「やっぱり兄貴じゃないのばれちゃった? 僕は海里の弟の海瑠(かいる)。顔も名前もそっくりだけど別人」
「そうだったんですか……」
どおりで雰囲気が違うわけだ。
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