雨とあじさいと雷

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「誘拐はされなかったのか?」 「あぁ、散歩中だった姫華の隣家の犬が跳びかかって助けてくれたらしい」 「隣の犬が?」 「そう、でっかいドーベルマン。姫華が可愛がってたんだ」 「でも、雷雨の中で犬の散歩なんてするか?」 「何か感じてたんじゃないかな。いつもは大人しいのに、あの日に限って散歩に連れて行けってかなり騒いだらしい」 俺もあのときは部活が雨のせいで中止になって、ちょうど姫華に会いに行くところで。 ちょうど通りかかったとき、姫華は救急車に乗せられていくところだった。 隣の犬が助けてくれなかったらと思うと今でもゾッとする。 .
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