3人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の食事を並べた宙は、エリックの膝へ戻ってきた。
いただきますと手を合わせ、箸を取りかけて、突然振り向いた。何か思いついたようだ。
「ね、エリックも一緒に食べよ?」
笑顔を向けられれば、何も返せない。
するりと膝から降りた宙は、もう調理台を見上げて何か言っている。
でも結局、追加は作ってもらえなかったらしく、一品少ないが自分と同じ量の食事を持ってきた。白い粒と、野菜の入ったスープ。
隣に座った宙に箸の使い方を教わり、上手く操れないエリックは悪戦苦闘しながら口に運ぶ。
ただただ、嬉しそうな宙のために。
あの人に、いつもよりはしゃいで食事をしているのを注意されるが、宙は全く聞いていない。
そんな様も、エリックには愉しかった。
時折あの人が、こちらを観察するように見ていても、気にならなかった。
最初のコメントを投稿しよう!