3人が本棚に入れています
本棚に追加
***
朝食後、宙は部屋で折り紙を始めた。
まぶしすぎる日光を避けた、ベッドのそば。
床に座る二人の周りには、折られた色紙がいくつも並んでいる。
花、船、飛行機、蛙、箱、塩。
どれもエリックには正体が分からない形だが、折った当人がそう言うのならそうなのだろう。
廊下を通り過ぎる足音が聞こえ、エリックは、様子を伺うように耳を澄ませる。
宙の姉だ。
警戒するまでもなく、足音はいつも通り、ダイニングへ向かった。
肩の力を抜く。
彼女には、見つかってはいけない気がしている。
機嫌を悪くしたときの声も苦手だ。
この部屋に居るあいだは、足音くらいしか聞こえないが。
ドアが開いたままの時などは、落ち着かないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!