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「おいそこの、白い兄ちゃん」
宙を追って玄関を出ようとしたところ、声をかけられた。
足を止める前に、言葉が継がれる。
「お前、大丈夫なのか?」
「……?」
振り返ると、あのひとが立っていた。
「今朝のアレ。死人がモノ食って大丈夫なのかよ」
腕を組んで見上げるあのひとは、心配なんかしている様子は無い。
エリックは、どこかけなすような意味合いさえ感じて、視線を尖らせた。
きっとこういう感覚を、勘に障ると言うのだろう。
見ていても、続く言葉は何も無い。
エリック本人としては、「食べた」感覚は無い。
腹の底に何かあるような気はするが、特に体調に変化も無いのだ。
言われるまで気にならない程に。
しかし、答える気にはなれず、黙って視線を切り、外へ出た。
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