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小さく、横柄で、この家の主のような顔をして、ひとを否定ばかりしている。
エリックの感覚にはそぐわない、あのひと。
宙の帽子を忘れた事に気が付くが、戻る気にもなれず顔をしかめる。
この照り付ける日光のように、わずらわしい。
外階段を降りながら、主を思い出す。
偶に見せる微笑。言葉より雄弁な眼差し。白く冷たく優しい掌。
居てもらえたなら、どれだけ安らぐことか。
なのに。
あのひとは、優しくない。
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