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  ******** 「先生って、だれ?」 「は?」  ソファの向こうから唐突に訊かれ、刃は顔を上げる。  宙が肘掛けにあごを乗せ、退屈そうに寝そべっていた。  隣のエリックはといえば、何やら絵本を開いて難しい顔をしている。  そろそろ昼寝の時間だろうと思いながら、早々に畳んだ洗濯物を置いた。 「先生って、何の」  エリックに字でも教える気だろうか。  しかし、続きは予想外なところに来た。 「刃は、がっこうでまほう習ったんでしょ?先生は?」 「はァ?」  この間の事件以来、魔法だ何だと言わなくなっていたのに。  一体今度はどんなTV番組を見たのか。  しかし刃は顔をしかめた後に、もっともらしく腕を組んでみせた。 「オレのセンセはセンセだ。だいたい何でも出来る。家事以外」 「ほんとに? お城とか作れる?」 「作れるだろ。見たこと無いけど」 「何で?」 「魔法使いだからな」 「まほうつかい!」  宙がたちまち興味津々に身を乗り出す向こうで、エリックが目を丸くした。  見上げた刃は片眉を上げる。 「お前、信じて無ェな? 死神と住んでて何で魔法使いが信じらんねえんだよ」  明らかにむっとしたようだが、宙はお構いなしだ。 「ねえねえそれじゃ、刃は、お花、出せる?」 「は?  ……オウ坊主、ちょっと折り紙持ってこい」  刃が首を傾げながら手を出せば、不満げに首を振られた。 「ちがう。ぼくのうえきばち」  
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