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   ばん、とドアが開けられた。  見なくても分かる。  せっけんと湯の香り。タオルをかぶったままの、風呂上がりのあのひとだ。 「オイコラ寝ろガキども」 「あ、刃! あのね、かっかとエリックとぼく、かいたんだよ!」 「オレは」 「無いよ?」 「何でだよ」  さっきの口まねのままに返され、宙はたちまち大笑いしている。  そんな宙を寝床へ追い立ててる姿を目にして、エリックは腹をおさえる。  この人は、宙のことを何だと思っているのだろうか。  見下ろす。  すぐ視線に気付かれ尖った目を向けられたが、エリックは思ったままを言った。 「あなたは、何、です?」 「はア?」  たちまち眉間にしわを寄せられた。 「ひとの事言ってる時間か。坊主に夜更かしさせてんじゃねえよ。さっさと寝ろ」  宙の横を指される。  ベッドでは、それが当たり前のように宙が待っていて。  発す言葉が見つからないエリックは、色々と飲み込まされた心地で、立ち上がった。  すぐに部屋を出ていく、小さな背中を睨む。  あのひとに言われたから動くんじゃない。  宙が、呼んでいるから。  
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