第1章

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「ルーズカース?」 「我は、心も体も全部レンヤに差し出してしまったから、これ以上レンヤに渡せるものはないぞ? どうすればレンヤの不安を取り除ける?」  ぎゅっとレンヤに抱きつきながらルーズカースは問いかける。  そんなルーズカースをレンヤも抱きしめながら、呟く。 「まだ、全てが夢のように感じるんです。ずっと好きだった貴方が俺の恋人でいて、愛を囁いてくれている……けれど、それはいつか目が覚めて、俺はまた一人のベッドで、いつもの部屋で一人、貴方を求めて走り続けなければならないのかもしれない……そんな不安が、痛っ」  そこで、軽くルーズカースが怒ったようにレンヤを叩いた。  そんなルーズカースを戸惑ったようにレンヤが見つめている。  けれどルーズカースにしてみれば、自身の気持ちすらも否定されたような気がして、
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