すべてを失った日

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「ねぇ、花火が上がる前に綿菓子買って来ていい?」 真剣に考えていた俺と海瑠をよそに、ゆうかは美味しそうな香りに引きつけられていて。 「は? 綿菓子は最後じゃないのか?」 「今食べたいんだもん」 「しょうがないなぁ。買ってくるから待っていろ」 本当はたこ焼きとか腹の足しになるものの方がいいんだけど。 俺もつくづくゆうかに甘い。 立ち上がろうとしたけど一瞬ゆうかのほうが早くて。 「自分で行ってくる。ちょっと待ってて。他に何か美味しそうなものも買ってくるから」 どれだけ買ってくる気なのかは知らないけど、いい香りに影響されていることは確か。 .
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