すべてを失った日

23/39
前へ
/39ページ
次へ
双子なのに一応長男だと言われている俺に、いつも会社を継げって伯父が酔うたびに言うから。 海瑠は何も言えなくなっていることも知っている。 もしかしたら、俺なんかよりも適任かもしれないのに。 「親父達の会社は兄貴に決まってるから」 「だからそれは親父達が勝手に言っているだけだろ。俺は継ぐなんて一言も言っていない」 「それでも兄貴は親父達の期待を裏切らない」 何だよそれ。 確かに子供のいない伯父の力になりたいとは思う。 だけど自分の人生を全てかけられるかと言われたら、まだ高校生の俺にはわからない。 親父達の仕事は面白そうだし、興味だってある。 あんなふうに出来る大人になりたいとも思う。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

508人が本棚に入れています
本棚に追加