すべてを失った日

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ゆうかの両親と一応俺の両親にも連絡を入れて、1人で今からどうするんだって思い始めた頃。 空に色とりどりの花が咲き始めた。 大きな音がすると一瞬で空が明るくなる。 さっきまで集まっていた人たちも、何事もなかったように花火に釘付け。 「1人で花火とかなしだな」 しかも男1人浴衣で。 歓声があちこちから上がる河川敷に場違いな俺。 なんだか自分の格好がおかしく思えて、どうしようもなく無気力で。 花火を見る気にもならない。 「何やってんだ、俺」 ゆうかの病院にも行かずに家に帰った。 .
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