すべてを失った日

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玄関を開けてももちろん誰もいない。 みんなゆうかの病院に行っているはずだから当然か。 自分の部屋に入るなり、浴衣のままベッドに転がった。 今更下駄を履いた足が痛い。 「足、痛ぇ」 窓の外ではまだ花火が上がっているらしく、静かな部屋に小さく音だけが聞こえて。 灯りもついていないのに時々うっすら色づく天井を眺める。 2人が付き合っているのなら、わざわざ3人で花火を見る必要なんてないじゃないか。 俺1人とんだピエロだ。 こんなことなら親父達について会社の屋上に行けばよかった。 .
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