すべてを失った日

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仕方なくソファーに腰を下ろすとゆきなも隣に座った。 「パパに着替えを持ってきたら、そこに海里から電話があったみたいなの。お友達が腹痛だって」 「兄貴か……」 そういえば救急隊にここに運ぶように言っていたんだっけ。 親父さんにも電話してくれていたんだな。 それなのに俺は動揺して何も出来なくて、苦しむゆうかにも何もしてやれなかった。 処置室の前で医者とただの高校生の差を見せつけられた。 「彼女、虫垂炎みたいね」 「そうなのか」 「うん、これから手術じゃないかな」 .
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