550人が本棚に入れています
本棚に追加
もともとそのつもりで見合いに来たんだ。
どうせ俺が結婚を決めないと、海瑠がいつまでも踏ん切りつかないみたいだし、ゆうかだってそろそろ将来のことを考えているはず。
「せっかくだから付き合ってみようか」
「は?」
そんなに驚くようなこと言ったかな。
お互いこうなることがわかって見合いしたはずだろ。
さすがに今すぐ結婚っていうのは可哀相だし、俺だってそこまで鬼じゃない。
「断って欲しいんだろうけど、ちょっと俺にも事情があるんだよね。だから、見合いは抜きにして、軽い気持ちで付き合ってみるってどう?」
「事情、ですか」
「そ、こっちもいろいろあるわけよ。お互い持ちつ持たれつってことでよろしく」
ぽかんとしたままの姫華に、ある意味強引に約束を取り付けた。
.
最初のコメントを投稿しよう!