ありえない同期(続き)

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「あ。はい」 私は言われるままに、 お店の一番奥のカウンターに腰を下ろした。 森川くんは、ブツブツ文句を言いながらも、 そのままスタッフONLYのドアを躊躇することなく開けて、 店の奥に入って行く。 事態が全く飲み込めていないけれど、 店内には、美味しそうな香りも漂っていて、 お客さんの出入りも、多くて、 カウンターの中のイケメン男性も、フロア担当の女性も立ち止まることなく動いてる。 ここを手伝うの……? 副業は、禁止されているけど、 お金をもらわないお手伝い程度なら、 とくに会社の規則に反してるわけじゃない。 今さら、熱心に英会話教室に通う気にもなれないし、 どうせ、家に帰ってもすることがないのも事実だし。 「達己くんが女の子を連れてきたのは初めてよね。 なにか飲む?」 フロアを動いていた女性が私に話しかけてきた。
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