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「来てくれてありがとう」
真顔で出された低い声に、やっぱり緊張が走る。
「いえ……。
私も、ちゃんと話をしなきゃと思っていたところでした。
あの日は、服部さんにすごく失礼なことをして……」
私は入り口近辺に立ったまま、頭を深々と下げて言った。
「すみませんでした」
「……」
頭を下げたまま、なにか声が掛かるのを待っていたけど、服部さんは何も言わない。
しばらく無言が続いた後、私は顔を上げて、服部さんの表情を伺った。
じーっと私を見つめる視線は、相変わらず。
服部さんは、少し眉間にシワを寄せたまま言った。
「それはさ、もう一度やり直してもいいってことかな?」
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