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「え……?」
あいつ?
服部さんが言う『あいつ』は、あの日、顔を合わせた『仁』以外にいない。
「いえ……。
彼とも別れました。
もう体だけの関係を持つのは、やめたんです」
「そっか」
服部さんは、腕を組んでからふぅっと大きく息を吐き出した。
「もし……田口さんが……」
言いにくそうに、途切れとぎれに言葉を吐き出す。
「え……?」
聞き取れなくて聞き返すと、服部さんは首を振った。
「いや。やっぱいい……。
とりあえず、社員旅行、今年は総務も一緒みたいだし、
気まずいまま過ごしたくはなかったんだ。
あの日のことは、一応、和解ってことで大丈夫かな」
「あ、はい」
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