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私が口を少し尖らせると、
またフッっと笑ってから、言った。
「俺も、お前が何考えてるのかなんて、全然わかんねぇよ。
遊んでるかと思ったら、そうでもなくて、
人付き合いが苦手なのかと思ったら、そうでもなくて、
どんなことが好きで、どうしたら本当に笑って、本心はどれなのか
俺には全然わかんねぇ……」
「も……森川くんに、言われたくない……」
口をすぼめたまま、小さく反論したけど、
少し細めた森川くんの瞳が、
まっすぐ私を見つめているから、
どんどん苦しくなっていく。
それは、森川くんが、私のことを少しでも理解しようと思ってくれたって解釈をしてもいいのかな……。
本心を探ろうと瞳の奥を、見つめ返すけど、
やっぱり、わからない……。
変わらない距離のまま、
フッと真顔に戻って静かに聞く。
「それ……誰に聞いたわけ……?」
「それ……?」
「俺が、結婚するとかしないとか」
「……そんなの誰、だっていいじゃん。
……実際、するんでしょ……?」
その答えを聞くのは、怖いけど……。
でも、頭のどこかでは、否定してて。
そんなわけないって。
ちゃんと、森川くんの口から聞きたい……。
森川くんは、眉間に皺を寄せ、
ふぅ……っとため息をついたあと、ポツリと呟く。
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