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「ってことは、
結婚して、会社辞めて、その病院に勤めるっていうのは……」
「何……?そんなことになってんだ……」
森川くんは、私の瞳を覗き込みながら、言った。
体から力が抜けていく……。
だけど、手放しで喜べない。
彼女のやり方は、
間違っていると思うけど、
面倒くさいと思いながらも、
付き合ってるんだよね……?
「でも、それって、森川くんが適当な事ばっかり言って、彼女をその気にさせちゃったんじゃない……?
彼女だって、そうじゃなきゃ、こんなやり方……」
「だな……」
私の話に被せるように声を出す。
「私には、彼女の気持ちもなんとなく分かる……。
本気で好きで、
手放したくないんだよ……」
「……だろうな……」
ふぅっと小さく息を吐いて、森川くんは私の肩から腕を離した。
ズキンと胸が痛む。
なんて思われようと、彼女は、一途に森川くんの事が好きなんだよね。
それほどまでに熱いまっすぐな気持ちが、私にはあるかな……。
私の体は固まってしまって動けず、離れていく森川くんを目で追った。
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