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森川くんは、運転席に座り直して、前を見ながらポツリと言った。
「ちゃんとケリをつけようと思う……」
「……ケリ……?」
今、なんて……?
ケリっていうのは、彼女……と……?
「なんで……」
森川くんは、車のドリンクホルダーに置かれた缶コーヒーに、ゆっくり手を伸ばしながら、
ニッと意地の悪そうな笑みを浮かべて、こっちを伺う。
「さっきの涙は、俺のせいなんだよな?」
「……え……違っ……」
感情をぶつけてしまった恥ずかしさが、一気に出て、
全身が、ぶわっと熱くなっていくような気がした……。
「へぇ。違うんだ……?」
「……も、森川くんのことなんて……なんとも」
「ふーん」
否定はしたけど、どんどん熱くなっていく私の顔が全てを認めているようなもので……
森川くんは、フッっと笑みを浮かべる。
「ほら、私もう、正己さんのお店も辞めるんだし、
私たちは、何の関係もないただの同僚に戻るし……
まぁ、今までも、何の関係もなかったけど……
もっとなくなるっていうか……」
言い訳を口にするけど、それもどんどんドツボに、はまってる気がする。
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