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---森川くんに会いに行ってよかった。
何度も頭の中で唱えて、自分を納得させる。
バタンと、玄関のドアがしまったとたん、一気に気が抜けて、その場にしゃがみこんだ。
胸が苦しくて、呼吸も上手くできなくて、我慢していた涙が頬を伝って落ちていく。
だけど、もっとしがみついて求めるべきだった……?
私はどうすればよかったんだろう……。
どれくらいそうしていただろう。
涙が落ち着くと、私は、ゆっくり立ち上がりバスルームに向かった。
シャワーを浴びようと服を脱ぐと、バスルームの鏡に映った私の胸元に、森川くんが残した赤い跡がついていた。
「達己……」
まだ、森川くんの熱が残っている気がして、私はその跡に触れた。
私に触れた指と唇に、確かに愛はあったよね。
そう思うだけで、私はまだ頑張れる。
森川くんが進むなら、私ももっといい女になりたい。
今は、私にできることを必死に頑張ろう。
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