過去と未来

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9月に入ってから、涼しい日は、 また理沙と屋上でお弁当を食べるようになった。 数ヶ月前と、全然変わっていない日陰のベンチで。 「実はさ……」 いつもポンポンと物怖じなく話す理沙が、少し俯いて、躊躇しながら話し出す。 「……私、陽太さんと結婚しようと思うんだ」 「……け、結婚……?」 『結婚』という言葉に、思いのほか衝撃を受けた。 同級生の中には何人か結婚して子供がいる。 だけど私たちには、まだ遠い存在だと思っていた。 まだ26歳。 平均初婚年齢まではまだ数年ある。 そんな悠長に思っていたのは私だけだったのかな……。
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