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手を伸ばせば、届く距離にいるのに、
森川くんはすごく遠い。
森川くんの手が私に向かって伸びてきて私の髪に触れ、首元で止まった。
小さなテーブルを挟んで向かい合っているので、その距離はそれほど近くはないけど、
いきなり感じた森川くんの感覚に驚いて、体が固まる。
「なぁ。あの宣言、まだ守ってんの……?」
ささやくような声で、私をじっと見つめながら森川くんは聞いた。
「え……」
宣言っていうのは、やっぱりセカンド・バージンのだよね……?
なんで今、ここで聞くの……?
森川くんの真意が知りたくて、しっかり視線を合わせると、
森川くんは座る位置を変え、私との距離を少し縮めた。
近づいてくる森川くんの視線に、私の胸の鼓動もバクンバクンと音を立てているかのように大きくなっていく気がする。
「守ってる……けど……」
私は声にならないくらい小さく口を動かした。
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