527人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺がよくいちこちゃんのこと話してるから」
不思議顔の私の疑問に答えるように、聡太くんがそう言った。
「そうそう、聡太ってばいっつもいちこちゃんの自慢ばっかするもんだから」
「俺達すっかりいちこちゃんファン」
って、いきなりそう言われて驚いた。
だって、ファン……だなんて。
「でもアレだよな。一番のファンは一也」
「え?」
「あれ?知らないんすか?あいつ筋金入りのシスコンっすよ」
その可笑しな言動に、些か戸惑った。
…………………………ん?
「えーーーーーーーーーーッ!?」
思わず、大声で叫ぶ私に、
「だから一也の奴、最近聡太に当たり強い強い」
そう言って2人が大笑いする。
「とーみーおーかー!余計な事言わなくていいよ」
そんな2人を聡太くんがすぐさま止めに入る。
ちょっと怒ったように、でもちょっとだけ、微笑みながら……。
騒ぐだけ騒いで過ぎ去って行った2人は、まるでハリケーンのようだった。
最初のコメントを投稿しよう!