不幸な宝くじ

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ある日、いつものように私が児童福祉施設でボランティアをしていると、市役所の職員が児童福祉施設を訪問し、園長先生と話をしているところを見かけた。 園長先生は、宝くじの当たり券を持っていないようだった。 その数日後、市役所の職員から連絡があり、園長先生が宝くじを隠していたようだという話を聞いた。 園長先生は、施設の子供たちや施設で働く従業員のことを、いつも親身になって考えてくれる、とても良い人だという印象があった。 だから私は、この園長先生のことを信じて、宝くじの当たり券を送ったのである。 やはり人は、大金を手にすると、変わってしまうものなのだろうか? 私は、家族のことでショックを受けたばかりか、信じていた園長先生にも裏切られた思いがして、さらなるショックを受けた。 私が送った宝くじの当たり券は、市役所の配慮で、無事に児童福祉施設の子供たちのために役立てられることになった。 このことは、私の思いがかなって嬉しかった。 今回の宝くじのことでは、人の醜いところが見えてしまい、やるせない気持ちになった。 人は大金を手にすると、こんなにも変わってしまうものなのかと痛感した。
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