ストーリー ストーリー 

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「待ってー!あのー、 岸田さーん」 渡り切った所で声を掛けた。 その大きな声に、 奴が振り向く。 「あ、 あ、 あの、 演奏、 素敵でした!!これ、 プレゼントなんですけれど、 友達が、 あの、 はあはあ」 弾む息を必死でこらえながら、 後ろを振り向く。 そこには、 信号につかまった萌が、 イラつきながらこちらを見ている。 「あ、 あすこにいる子、 あの子なんです。 岸田さんファンで、 今日の演奏楽しみにしていた子で…。 だからちょっと待っていてもらえませんか、 今、 来るから、 はあ、 はあ」 やっと近付いてきた彼女だが、 なんだか変。 え?なに?なんでこわばった顔しているの?彼女は、 唇を固く結んで、 すくめた首を、 小さく振っている。
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