第1章:始原

3/8
前へ
/8ページ
次へ
ここから一人称 ------------------------------------------------------------ 11時半 「ふぁ~ぁ。寝過ぎた…」 今何時だ?と時計を見るためにベッドから体を起こそうとした時、それは聞こえてきた。 人の叫び声が バッと体を起こして外を確認する。 「なんだあれ…」 そこには地獄絵図が広がっていた。 辺りには肉が飛び散り血の華を咲かせ、阿鼻叫喚し逃げ惑ってる人々の姿が。 「どうなってんだ…」 とりあえずただ事でないことは理解したが、今だに稜は何が起こっているのか理解することはできなかった。 (無差別殺人にしたら規模が大きすぎるし…テロか?) そんなことを考えながら外を観察していると進展があった。 一人の女性が他の逃げ回ってる人にぶつかって倒れてしまった。 そこに頭から血を流したサラリーマンの男性がフラフラ近づいていった。 あきらかにまともそうには見えない。 それから女性の近くまできたサラリーマンの男はそのまま女性に倒れこみ首元に噛み付いていた。 新しく血の華が咲く。 「おいおいおい売れないC級映画じゃないんだから今頃ゾンビなんて流行んないって…」 そんなことを言いながら稜の足は微かに震えていた。 女性が殺される様子をリアルタイムで見つつ稜は既にこれからのことを考えていた。 (あれが映画でみたゾンビそのものっていうならあの規模のゾンビを警察がすぐにどうにかできるとは思わない。) 思考を巡らせていると先ほど殺された女性が起きあがった。 起きあがった女性の首元の肉はごっそりと抉られており、サラリーマン同様フラフラと歩きだしたのだ。 今現在も逃げ回ってる人々がいる中、ゾンビは1人1人確実に人間に食らいつき、更にその規模を拡大していた。 今ここで稜が他に逃げ出そうとしても同じくゾンビの集団にいただきますされるのは目に見えていた。 幸い、まだ家の中にゾンビは侵入していない。 道は一つしかなかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加