第1章:始原

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1ヶ月半後 ------------------------------------------------------------ 「…」 稜は死にかけていた。 正確に言うとまだどうにか動ける範囲で今すぐどうにかなるようなものではない。しかし限界が近いのもまた事実だった。 サイクル通り、昼は外を眺めゾンビの情報を収集しようとしていたし夜は日が落ちたら明かりをつけることもなくすぐに寝た。 その間、ネットを使い情報収集をしようとしたが既にネットは止まっていた。キャリアが潰されるの早すぎだろうと思ったがそこに文句を言っていてもなにも有意義なことはないので早々に別のことを考えた。 今のところ電気は通っているし、水もでる。 しかしキャリアが早々に潰されたことによりそれらの問題も考えなくてはならなくなった。だがそんなことはそのときに考えればいいと稜は楽観的に考えていた。 現実に現在も特にネットが使えない以外問題はない。 稜を苦しめているのは別の問題だった。 「腹減った…」 食料が底をついたのである。 当初の計画では1日一食で頑張れば1ヶ月生き延びれる計画だった。それこそもっと切り詰めれば1ヶ月半もどうにかなる予定だった。 しかし稜は高校生男子で育ち盛りである。1日一食ではきついものがあった。最初の1週間は後半我慢すればいいとちゃっかり2食、我慢できない日は3食しっかり食べる日もあった。 3週間が経過したときにはすでにカップラーメンやレトルト食品もそこをつき、米に塩をかけて食す生活になっていた。 そして1週間前にとうとう食料が尽きた。 稜もその頃には流石にまずいと感じたのかどうにか隣家から食料を頂けないかと行動したがゾンビは生きている人間が近くにいないにも関わらず未だに辺りをうろついていた。 隙をついて食料を調達しようとタイミングを見計らっていたところ日が進み今のような状態になってしまった。 (俺このまま死ぬのか?) 「ははは…」 稜は笑った。
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