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商店街
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そこには一人の少女がいた。
特に目立つタイプでもなく、成績はそこそこよかったが運動が得意というわけでもなく容姿端麗というわけでもない。
ごく一般の女子構成、片桐葵
それが彼女の名前だった。
親からもらった葵という名前を彼女は個人的に気に入っていた。
そんな彼女も現在人生最大のピンチを迎えていた。
奴らの存在である。
「いや…こないで!」
「がああああああ!」
高校の昼休み、本当はダメだが運悪くお弁当を忘れてしまった彼女は校外に買い物にでてしまった。
彼女の高校は今では珍しく校内に購買なんてものはなくお弁当を忘れてしまった者は放課後まで我慢しなければなかった。
そういう経緯もあり彼女は高校近くの商店街にお弁当を買いにきたが突如として奴らが現れ、近くの店に逃げ込み何日か隠れていたがとうとうそれも限界に達してしまった。
「や、やめて」
余談だが、今回日本に現れたゾンビの特性としては総じて目が悪かった。
個体に差はあるもののどんなに目の良いゾンビでも3メートルも離れれば人間を知覚することはなかった。
ならなぜ奴らが人間を知覚できるかというと、奴らは耳が良かったのである。
もし今回、彼女が声を発さず、息を潜めていればもしかしたら彼女は奴らに見つかることはなかったかもしれない。
ちなみにこれは稜が数日外を観察し続けて発見したことである。
「キャァ……」
そうして葵が悲鳴を上げるとまた一人の人間が辺りに血の繁吹きを散らしながらその生を終わらせた。
その直後
「おらぁぁぁぁぁ!」
突如ゾンビの頭が潰れた。
「1ショットキルでーす!ん?でもこの場合だと1ブレイクキルか?」
訳のわからないこと言い、男は次に葵の方を見る。
「間に合わなかったかぁ…どんまい女子高生!」
小川稜は生きていた。
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