第1章:始原

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数日前 ------------------------------------------------------------ (このままじゃ死ぬか…) 死の淵に立たされた稜は必死に現状の打開策を考えながら外を眺めていた。 外は相変わらずゾンビが闊歩する世界が広がっていた。 そこに一人の生きている男が民家からでてきた。 (久しぶりだな…最近は生きている人を見ることも減ってきていたけど…) 大方食料が尽きて外に食料を求めたのだろう。 そして案の定、奴らに捕まり捕食されていた。 (馬鹿だな…そうなることはわかりきっていただろうに…) しかしそこで稜はふと思い立ち立ち上がった。 そこには醜くい笑みを浮かべていた。 (どうせこのまま死ぬくらいなら最後まで足掻く価値はある…) 稜は満身創痍な体のことなど忘れ、考えた内容を実行するために準備を始めた。 まず稜は車庫に向かい、放置されていた室内用の伸縮可能な物干し竿を手に取った。 (これだけあればどうにかなる…奴らに知能があるとは観察したかぎり考えられない…) 稜はそのまま玄関に向かい玄関を上がったすぐの場所にその物干し竿を設置した。 歩いたらちょうど足首にかかるくらいの位置に。 (準備はできた…後は…) ------------------------------------------------------------ 一匹のサラリーマン風の男がピクッと反応する。 (かかった!) 稜はほくそえんだ。 稜は数日の観察の末、奴らが音に過敏に反応することはすでに認知済みだった。 そのため稜は家に設置されている鉄製の門を軽く叩くことによって上手く一匹のゾンビをつり出すことに成功した。 稜は慌てて家に入りリモコンによって門を開け、そのゾンビを庭に入れた。 ゾンビが庭に入ったことを確認し、稜はすぐに門を閉めた。
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