夢は売れっ子作家

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夢は売れっ子作家

 野村新太は興奮し、親友の井森雄太に詰め寄った。 「一億円あるんだ」 井森は、言われたが、嘘だと決め付け、くわえ煙草で面倒くさそうに野村を見る。 「はいはいはい、突然どうした?そんな大金、お前に稼げるわけ・・・」 井森の話を途中で断ち切り、自分の力を示す野村。 「ネットビジネスの力だ!1億円は稼げる金額だ!ま、俺だから出来たんだがな!」 これは、ネットビジネスの世界に引きずり込まれるのかと思いながら、敬遠気味に野村に言い返す井森。 「興奮すんなよ。ま、貯金しとけ。すべての運を使ったんだろうから、今後、金は稼げねぇかもしれんからさ。それに俺はネットビジネスには興味ねぇぞ。誘うなら余所いけ」 「何言ってんだよ。金は使うためにあるんだ。貯金はしねぇし、お前をネットビジネスには誘わん」 「ふ~ん。で、車?マンション?それともパチスロ?あ!泡風呂でヌルヌルしちゃう?」 「コメントを買う!」 「は?コメントを買う?何だそれ?」 よくぞ聞いてくれたと鼻息を荒く、ドヤ顔で説明を始める野村。 「俺、実は小説を書いてんだ。結構投稿しててさ。まぁ、なかなか売れないんだがな」 何の話だよと思いながらも、うなづく井森。 「そ、そうか。それとコメントが関係あるのか?」 「あぁ。一億・・・いいや、一億円以上の価値があるぜ」 「それって、どういう?」 「一億円使って、コメント集めまくれば、俺の評価はうなぎ登り!そして、俺の小説は、出版されるんだ!どうだ。スゴイだろ!」 「は?金使って、コメントを集める?そんなだから小説も評価低いんだよ・・・」 「な!なんとっ!」 「てか、1億円あれば、書籍の出版くらい自費で出来るじゃんよ」 「あ!そだな」
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