第1章

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 手紙を読みながら、付き合っていた3年間を振り返っても変わったじゃないかと叫びたくなるだけで自分と向き合おうとは思わなかった。  それから、1ヶ月ほど引きずって彼女に貰った手紙を読みながら悩んで考えてを繰り返した。  結論から出たのは、自分を変えないでありのままの自分を受け入れてくれる人を探そう。それだけのことでいいんだと自分に言い聞かせた。  だが、何ヶ月たってもそんな人は、なかなか見つからない。合コンをしても奥手な俺を受け入れてくれる人なんていなかった。  いつもと変わらない1日を過ごして寝る。残酷なほどに時間だけが過ぎていく。なんで自分だけがこんな惨めな思いをしなくてはならないんだと嘆いた。  そんな中で俺は、仕事に専念することを選び仕事だけを生きがいにしようと決心した。  けれども、悪いことは続くものであって乗り越えられなければ落ちていく。来月から会社に来なくていいと上司に言われてから、半月がたとうとしていた。  俺は、タンスの引き出しを開けて通帳の残高を確認した。  
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