第一章

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*** 春休みは楽しかった。 遊んで、ダラダラして、勉強なんてしなかった。 大変満喫できましたーって感じ。 その分始業式とかかなりダルいわけで。 だから、抜け出したっていいじゃん。 「……まさか抜け出す気なの、空」 「ゲッ……楽」 幼なじみ……というか腐れ縁の楽が、私の腕をつかんだ。 腐れ縁といってもある時期から連んでない。 でもたまにこうして話しかけてくる。 「……いいじゃん別に。ほら、離して」 やんわり振り払うと、諦めたのか簡単に去っていった。 「……確かあいつと同じクラスか。……ま、どうでもいっか」 もはや私物化しつつある保健室へ、私の足は動いた。
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