21人が本棚に入れています
本棚に追加
「痛…」
「あ、悪り…」
弱くなると、そのまま降ろして手を繋いでくる桜井。
「だから、なんで手繋ぐっ」
「…そういう反応が新鮮だからさ?」
桜井は嬉しそうに私を覗き込んでくる。
「マゾか」
私はボソッと呟く。
反対の手で鞄を肩から下げて、私の手を離すことはなかった。
振り払おうとしても、桜井は逃すまいと、楽しそうに笑うだけ。
桜井も、自然に笑うんだなってその時はちょっとだけドキッとした。
いつも、胡散臭い笑顔振りまいてさ
「…桜井くんって、いつも疲れない?」
「あ?何が?」
「いつもキャーキャー言われて、胡散臭い笑顔でさ」
「……」
「私だったら無理。疲れるし、変な男に突っ掛かられるなら無愛想のままでいい」
余計なことまで喋りすぎた、と思い私は口を閉ざす。
「変な男…?」
「もう何でもない
ほら、私、本当にみんなと合流するから離してください」
思い切り離すが、私と桜井に距離がなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!