第1章

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「痛…」 「あ、悪り…」 弱くなると、そのまま降ろして手を繋いでくる桜井。 「だから、なんで手繋ぐっ」 「…そういう反応が新鮮だからさ?」 桜井は嬉しそうに私を覗き込んでくる。 「マゾか」 私はボソッと呟く。 反対の手で鞄を肩から下げて、私の手を離すことはなかった。 振り払おうとしても、桜井は逃すまいと、楽しそうに笑うだけ。 桜井も、自然に笑うんだなってその時はちょっとだけドキッとした。 いつも、胡散臭い笑顔振りまいてさ 「…桜井くんって、いつも疲れない?」 「あ?何が?」 「いつもキャーキャー言われて、胡散臭い笑顔でさ」 「……」 「私だったら無理。疲れるし、変な男に突っ掛かられるなら無愛想のままでいい」 余計なことまで喋りすぎた、と思い私は口を閉ざす。 「変な男…?」 「もう何でもない ほら、私、本当にみんなと合流するから離してください」 思い切り離すが、私と桜井に距離がなくなった。
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