第1章

19/38
前へ
/38ページ
次へ
「キャ…」 ドスッとボールが腹辺りに直撃してしまった今ちゃん。 「ってー…誰だよ…」 今ちゃんは案外平気そうに、睨むようにグラウンドを見る。 まさか、と思い、私もそっちを見る。 転がるボールを取りに来たのは、やっぱり桜井だった。 「良輔、悪い、平気?」 「お前…」 「ちょっと桜井!危ないから! 頭に当たったらどうす…」 「だから、悪いって言ってんだろ わざとじゃねぇよ」 桜井は目を合わすことなく、逆ギレのように強い口調だった。 「…今ちゃん、大丈夫?」 「うん、平気」 「……」 桜井は、さっさとボールを拾うといなくなった。 「何アイツ…」思わずこぼれる。 「…高澤はチャリだっけ? 俺駅だから、また明日な」 今ちゃんはそう言うと、手を振り校舎を出ていく。 今ちゃんの後姿を見送る。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加