第1章

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「あたしも聞きたーい」 文香ちゃんまでペンを置いた。 「どうって…何もないんですが」 またペンを走らせようとするけど、質問が飛んでくる。 「付き合わないの?」 「ねー、絶対桜井くん加乃に気があるもん」 「…あのさ、いつも言ってるけど憶測でそんなこと言わないでよ」 「でもさー」 「亀ちゃん」 「…ごめん。 でも、桜井くんの人気からして、いつか加乃にまとわり付く人間が出てくると思うんだよね。そうなる前にはっきりさせるのも手だと思う」 皆が黙る。 「ほ、ほら勉強しよう!勉強!今はそれだけ考えようよ」 絵莉が取り繕ってくれる。 一瞬、変な空気が流れたが、またペンの音しかしなくなった。 私はボーッと考えてた。 あれから、桜井とは何もなく変わらない。たまに見かける程度で、話しかけられることもない。 ホッとしてるけどね
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