CALL

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 きっと、あの夜。  誠兄さんは、仕事先の人との打ち合わせなんかではなく、あの女と会っていたのだ。  犯罪まで起こしてしまう程、自分に惚れ込んだ女は、彼の呼び出しに、何の疑いもなく、むしろ、喜び勇んでやってきた事であろう。  そして、上機嫌な彼女は、勧められるがままに、お酒も進み……。  酔った女を介抱するかのように、店を出て、そして、あの公園の女子トイレに置き去りにした。  でも、あの女が着ていた服装はどう説明する?  酔い潰れた人間の服を、着替えさせるなんて、二人がかりとはいえ、簡単な事では無かった筈。  着替えさせている間に、意識がハッキリしてしまう事だって……あぁ、そうか。  なんで、あの日、美香は、わざわざ、デニムに、目立つような赤いタートルを着ていたのか。  そして、真っ白なダウンのコートを羽織っていたのか。  考えれば直ぐに分かる事じゃないか。  それは、私に美香とあの女を勘違いさせる為。  誠兄さんが「赤いセーターと白いダウンコートって、俺、好きなんだよね。    スカートよりも、デニムに黒のヒール。カッコイイのに色気があるよね」なんて、歯が浮くような言葉でも言えば、あの女はノリノリで、服を新調してでも彼好みの服装で来るだろう。  まぁ、もし、違ったとしても、最終手段として、泥酔しているうちに着替えさせたであろうが。  
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