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次に僕が気が付いた時はもう辺りは朝で玄関のチャイムが鳴り響いていました。
恐る恐る、覗き窓を見ると取引先の人で
僕が約束していた打ち合わせの時間になっても現れないし、携帯に掛けても繋がらないからと様子を見に来たそうです。
そして連日のメリーさんからの電話のせいでろくに片付ける事も出来ていない部屋や僕の痩せた姿と顔色を見たからかその人は僕の話を親身に聞いてくれて
「それならここに連絡するといい…
きっと解決してくれる」と言って…
「それでうちの事務所に電話をくれたんですね…
話を聞くまでは詳細が分かりませんでしたが、問題のメリーさんはもうすぐそばまで迫って来ているんですね。」
「そうなんです。
八木沼さん、お願いします、どうか助けて下さい!」
「分かりました、お任せ下さい、解決しましょう。」
「ありがとうございます。」
「あの~、幽亮さん?」
僕は思わず尋ねていた。
「なんだい、直也君?」
「解決するって…具体的にどうするんですか?」
そう、今の拓也さんの話の通りなら相手は有名な都市伝説のメリーさんだ。
まさか、お祓いやまじないなどで解決するのだろうか?
ちなみに、僕にはそんな力は1つも無いのだが…
「直也君、君はメリーさんがどんなものか知っているかい?」
「えっ、どんなものって有名な都市伝説の幽霊…」
「う~ん、ちょっと違うよ。
怪異はね、その大半は人間が原因で引き起こされるんだよ
今回の件がまさにそうだ」
「あの~、すみません…こちらにも分かる様に教えてくれませんか?」
拓也さんも首を傾げていた。
「実はメリーさんは降霊召喚術の一つなんだ
つまり今回、メリーさんという霊を召喚した人間がいる筈なんだよ。
そして、その召喚には必ず媒体が必要なんだ
僕らは今からその媒体を見つける。」
「媒体?」
僕が首をかしげる。
「召喚した霊を入れる器みたいなものと思えばいいよ
今回はそう…拓也さんが見たという西洋人形がそうだ。」
「では、それを破壊すれば僕は助かるんですね。」
拓也さんの目に生気が宿る。
「いや…それだけでは、まだ駄目です。
先程も言いましたが、召喚したのは人間です
その人間が誰なのかも突き止めなければいけません
そうじゃないと何度だって召喚されてしまいますから」
そう聞いた拓也さんはまたふさぎ込んでしまった。
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