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学校での一悶着から昨日の現場に着いても悠太も圭介君もお互いに一言も話さなかった。
幽亮さんに二人を会わせる
「君が圭介君だね、話を訊かせてくれるかな?」
「………」
しかし、圭介君は黙ったままだ。
僕が幽亮さんに学校であった事を教えると
幽亮さんは圭介君の肩にそっと手をおいて話し掛ける。
「君が嘘をついていようといまいと僕には関係ないよ
でもね…君が話をしてくれないと死んだ夏見さんは浮かばれないんだ」
幽亮さんの言葉に悠太が続けて言う。
「なぁ…圭介、俺も怒鳴って悪かった
でも俺とお前は友達だろう
だったら隠し事なんて水臭い事は無しにしようぜ」
幽亮さんと悠太のその言葉に圭介君は静かに語り始めた。
「僕があの人に初めて会ったのは1ヶ月前でした。」
「その時も僕は部活で遅くなったから
近道を通って帰るためにあの家の前を通ったんです。」
「その時に初めてあの人を見ました
あの人は二階の窓辺から星空を見ていた…
その星空を見る、美しいあの人の姿は星空の光を受けてまるで輝いてる様にも見えました。」
「そして僕は部活が遅くなる度に必ず、その家の前を通りその姿を見ていくうちにどんどん惹かれていった
まさに一目惚れだったんです。」
「でも…そんなあの人に声を掛ける勇気は僕には無くて
だから…いつも軽く手を振る事しか出来なかった。」
「でも、あの人はいつもそれに笑顔で返してくれていました。」
「それが1週間前の事です…
突如、窓辺にあの人の姿が現れなくなりました
どうしたんだろう…?
と僕はあの人の事が気掛かりで
その日から毎日のように窓辺にあの人が現れないかとあの家に行きました。」
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