怪異FILE04 星を見る少女

37/39
前へ
/187ページ
次へ
俺はそれから3日間はS市で仕事をしていた 夏見の事なんかすっかり忘れていたさ それで帰ってきて夏希ちゃんに話を聞いた時はびっくりしたよ 夏見が俺と会った6日前から連絡がつかない状態になっているってな その時、俺の頭に過った嫌な予感はこの別荘での事だった 俺は夏希ちゃんにそれとなく別荘の話をして翌日に一緒に見に行く様にした だが、俺はそのまま家に帰らずにこの別荘に向かったんだ。 別荘のこの部屋に入った時にすぐに6日前と同じく机の近くで倒れている夏見を見つけた 近付かなくても、部屋の中に漂う腐敗した臭いからすぐに分かったよ 死んでるってな だから俺は夏見を自殺に見せかけようと思った こんな事で捕まるなんてまっぴらだからな それで一階からロープを見付けて二階に上がった時だった。 俺は見ちまったんだ。 夏見があいつが窓際に立っているのを…俺は驚いたよ 夏見は確かに死んでいた それなのに窓際に立っているんだからな その時、カメラのシャッター音みたいなのが外から微かに聞こえた 直感的にまずいと思った俺は夏見を後ろに引いて、急いでカーテンを閉めた そのままの勢いで夏見を押し倒し首をロープで絞めて そして、そのまま天井の梁に夏見を吊った。 それからカーテンの隙間から外を覗くと、眼鏡を掛けたガキがこの家の周りをしばらく見て去っていった。 次の日に夏希ちゃんと別荘に来たら、家の中に昨日のガキとおんなじ顔のガキが居たのは本当に驚いたよ だが、どうやらガキの方は俺の事を見ていないようだし 話に聞き耳をたてたらどうやらガキは今日は眼鏡を忘れたんだと思った でもまさか、俺が見たあれが兄貴でおんなじ顔の弟がいるとは思わなかったな。 本当、俺の人生は兄弟や姉妹に狂わさせれちまったよ… そう話した夏彦さんはうなだれていた。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加