4人が本棚に入れています
本棚に追加
新緑の五月も終わりの頃、カーテンの隙間から入る優しい光に包まれる爽やかな朝。
うーん、と伸びをしてベッドから起き上がると、寝室を出る前に小さな声でこの『お気に入り』の顔に向かって
「おはよ」
を囁くのが日課になってる。
毎朝の事ながらこの彼を見る度に胸がキュンとする。
あるアイドルグループのリーダーで『ハル』の愛称で親しまれている神崎春海は、あたしにとって既にファンを通り越して恋なんだよね。
毎朝眺めるこのハル、雑誌についてたポスターなんだけど……たまらん。
タラリと下がる前髪から覗く熱い視線。
今にも喋り出しそうに少し開いた唇。
あたしはこのハルにいつも元気をもらってんだよね。
というのも、夫の不倫が原因で離婚し、裏切られた苦しみや哀しみをかき消す様にガムシャラに働いて働いて……身体壊して倒れ、入院。
もう倒れた頃にはすっかり離婚のショックなんて無くなってたけどね。
でもまだ小さいモモを抱えて、あたし何やってんだろうってなんか凹んで……
その頃入院先でたまたま観たドラマにハルが主演で出てて。
それまでも勿論テレビで観た事はあったけど、まだ学生だったハルに興味が湧くはずもなく。
なんてったって6歳も歳下だし。
なのに……
なのに。
この当時22歳のハル、数年前に観た時とは違いすっかり大人になって男らしくなってて。
ドラマの内容も面白くて夢中で観てるうちに、ハルのふとした表情や仕草にあたしのハートは撃ち抜かれてしまった。
ぜんっぜんアイドルなんて興味も無かったのに……あたしは一気にこの6歳も歳下のハルに恋してしまったのよーーーっ!!
最初のコメントを投稿しよう!