2話

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あの日 彼女をバイクの後ろに乗せ デートしていた。 交差点を通過中 左から信号無視の車が俺達に突っ込んできた。 二人とも吹っ飛ばされた。 目を開けたときには目の前が地面で その奥に彼女も横たわっていた。 俺は自分が怪我をしていることさえ気付かずに 無我夢中で彼女の元へ駆け寄った。 彼女に近づくまでわからなかったが 彼女の周りのアスファルトは 真っ赤に染まっていた。 ぐったりとした様子で動かない彼女に 恐る恐る声をかけた。 すると彼女は目を開けた。 俺と目が合うと 力のない笑顔を見せてくれた。 『大丈夫だよ。大丈夫だから。』 笑顔を絶やさず何度も彼女は言っていた。
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